薬局やSNSなどで目にすることの多い「ワセリン」。
昔から世界中で使われている、有名な保湿アイテムです。
ただ「どう使うのかわからない」「そもそもワセリンってなに?」と疑問に思っている方も少なくないはず。
そこでこの記事では、ワセリンの効果効能とおすすめの使い方を紹介。
あわせてヴァセリンとの違いや副作用の有無も解説しています。
ワセリン使い道に悩んでいる方や使ってみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
ワセリンとは?効果効能をチェック
ワセリンとは、石油を脱色精製して作られた保湿剤のこと。
肌の表面に油膜を作り、肌内部からの水分の蒸発や乾燥を防ぐ効果を期待できます。
さらにホコリなどの外部刺激からも肌を保護してくれる優れモノです。
ただ原料が石油と聞くと、肌への使用に不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
しかしワセリンの石油は天然由来成分。
刺激性やアレルギー性がほとんどなく、乾燥肌や敏感肌の方も使える優秀な保湿剤です。
医療現場や薬の基材に使われることも多く、軽い傷、やけど、肌荒れなどの保護としても使えます。
先行研究ではワセリンは様々な軟膏の基剤となっており、皮膚への安全性が証明されている。
(参考:ワセリン塗布による皮膚保湿時間の検討)
また、植物油のように美容成分などを含まないため、酸化しにくく保存性が高いのもメリット。
頻繁に使用しない場合でも、使用期限まで数年間は持つ場合が多いです。
その上ドラッグストアなどで数百円から購入できるので、コストパフォーマンスが高いのも魅力的でしょう。
まさにワセリンは、一家にひとつは置いておきたい「お守りアイテム」といえます。
【ワセリンの種類】ヴァセリンとの違いは?
ひとえにワセリンといっても、「白色ワセリン」「黄色ワセリン」の2つに分けられます。
種類 | 精製/脱色 | 純度 | |
黄色ワセリン | 未精製/未脱色 | 低い | |
白色ワセリン | 一般的な白色ワセリン | 精製/脱色 | 高い |
プロペト | 白色ワセリンをさらに精製 | とても高い | |
サンホワイト | プロペトをさらに精製 | よりとても高い |
原料が石油であるワセリンは、もともと石油由来の不純物が含まれているもの。
精製の純度が上がるにつれて「低刺激性、黄色から白、やわらかいテクスチャー」へと変化していきます。
特にプロペトやサンホワイトは、一般的な白色ワセリンをさらに精製した純度の高いワセリン。
不純物をほとんど取り除いているため刺激が少なく、皮膚科での処方にも使われています。
目元や口元のデリケートな部分、敏感肌のスキンケアにおすすめです。
よく耳にする「ヴァセリン(Vaseline)」は、ワセリンの種類ではなく商品名。
1870年以来世界中で親しまれているスキンケアブランド、ユニリーバ社が販売しているワセリンです。
ワセリンの種類としては黄色ワセリンに分類されていて、比較的安価で手に入りやすいワセリンといえます。
ワセリンのおすすめの使い方5つ
ワセリンはスキンケアだけでなく、ボディケアやヘアケアなど全身に使用できるアイテムです。
ここからは、ワセリンの代表的な使い方4つを紹介していきます。
※タップ、クリックで該当箇所へ移動します。
スキンケア最後の保湿クリーム
スキンケア最後の保湿クリームとして使うのが、ワセリンの代表的な使い方です。
特に肌荒れがひどいときは、「化粧水とワセリンのみのシンプルケア」に変えてみるのもおすすめです。
ただしワセリン自体には肌にうるおいを与える効果は期待できません。
あくまでも油分でフタをするイメージなので、はじめに化粧水や乳液でしっかりと水分を補うことが上手に使うコツです。
- 洗顔後、化粧水や乳液などで肌を整える
- ワセリンを米粒1つ、または2つ分程度指にとり、手のひら全体にあたためながら伸ばす
- 手のひらで顔を包み込むように軽く押し当てる
- 手を1度顔から離し、位置を変えてまた押し当てる
- 保湿が足りないと感じる部分(目元、口元など)に、②〜④を繰り返す
「塗布量が少ない」と感じるかもしれませんが、ワセリンは少量で十分な保湿力があります。
ベタつきやテカリを防ぐためにも、薄く伸ばすことを意識しましょう。
摩擦による肌トラブルを防ぐためにも、こすらずに押しあててなじませるのがポイントです。
なじませた後もベタつきが気になる場合は、軽くティッシュオフして調整してください。
ワセリンはボディクリームとしても使える
ワセリンは、マッサージジェル代わりに体に塗るのにも便利。
デコルテやひじひざ、あしやかかとまで全身をワセリンひとつでケアできます。
乾燥がひどい場合は、マッサージの前に化粧水やボディーローションをなじませておくのがおすすめ。
スキンケアと同じく、水分を補給し肌のうるおいにフタをする役割として効果的です。
ベタつきを防ぐためにも、かならず少量ずつ塗り広げてください。
毛穴の角栓、黒ずみケア
毛穴の角栓や黒ずみに悩んでいるなら、ワセリンで毛穴パックをするのもひとつの方法。
ワセリンを肌に分厚くのせてフタすることで、体温を逃さずに毛穴をほぐす効果が期待できます。
- クレンジングを済ませておく
- ワセリンを角栓や黒ずみの気になる場所に分厚く塗布する
- そのまま放置する(15分程度)
- 力を入れずに指の腹でやさしくクルクルする(10秒程度)
- やさしく洗顔し、こすらずにワセリンを落とす
肌をクルクルと触る際は、薬指を使うのがおすすめです。
余計な力が入りにくいので、肌を強くこすることなくケアできます。
特に入浴中にパックしてから洗顔すると、毛穴に詰まった皮脂汚れを落としやくなるでしょう。
肌のザラつきやポツポツが気になったら、スペシャルケアとして試してみてください。
よく勘違いされますが、ワセリンには角栓を溶かす効果はありません。
そもそも角栓とは、毛穴の中で古い角質(たんぱく質)と皮脂が混ったもののこと。
皮脂のかたまりと勘違いされがちですが、実は角栓の約70%は角質でできています。
つまり、油が主成分のワセリンにはタンパク質を溶かすことはできないということ。
ワセリンパックは、あくまでも洗顔やクレンジングのサポートとして使用しましょう。
ナチュラルメイクや薄づきメイクのクレンジング代わり
ワセリンは油でできているため、クレンジングの代わりとして使うこともできます。
- 手を洗い、水気を拭き取る
- ポイントメイクは専用リムーバーで落とす
- ワセリンをパール1粒大程度指にとり、指先で包んであたためる
- Tゾーン(額、鼻)→Uゾーン(頬、あご)→目元、口元の順に顔全体にワセリンを伸ばす
- 肌をゆっくりとクルクルなでてなじませる
- コットンや肌触りの良いガーゼでワセリンをやさしく拭き取る
- そのまま通常通り洗顔する
ウォータープルーフのマスカラやティントなどは、あらかじめポイントメイクリムーバーで落としておくのがベター。
目周りの皮ふや唇にダメージが少なく、しっかりとオフできます。
またワセリンでしっかりとメイクを浮かせるコツは、手のひらに伸ばしきらないこと。
ワセリンは粘度が高くテクスチャーが硬いため、手に伸ばすとなかなかとれません。
顔への塗布量を確保するためにも、指先と顔の体温であたためて伸ばすのを心がけましょう。
リップクリーム、リップパック(唇の保湿)
乾燥する季節は、ワセリンをリップクリームの代わりとして使うのもおすすめ。
油分がほとんどのワセリンを唇の保湿として使うことで、唇の水分をしっかりと閉じ込めてうるおいを保てます。
口紅の上から薄くワセリンを塗れば色落ちを防ぐのにも使えるでしょう。
また、ワセリンを使ったリップパックも効果的です。
【リップパックに使用するもの】
ワセリン、清潔なタオル、ラップ
【手順】
- あたためた蒸しタオル※を唇にのせ、唇の皮をやわらかくする
※水を含ませたタオルをゆるく絞り、500Wで1分間を目安にレンジアップする - ワセリンを唇のふちからはみ出す程度オーバーに厚く塗る
- クルクルと唇の上で円を描きながらやさしくマッサージする
- ラップを唇にのせて放置する(約5分)
- ラップをはがし、唇に残ったワセリンを指でトントンとなじませる
ワセリンが唇の縦じわを埋めるように、指は横ではなく縦方向に動かすのがポイントです。
唇の皮がふやけてきても、引っ張ってむいてしまわないように注意してください。
ワセリンに砂糖を加えるだけで、シュガースクラブを作れます。
唇がゴワついているときや特別な日のスペシャルケアとしておすすめです。
- ティースプーン1杯程度の砂糖とたっぷりのワセリンを混ぜる
- スクラブをのせてクルクルと円を描くようにゆっくりマッサージする
- コットンでやさしく拭き取り、ワセリンを薄く塗って保湿する
ヘアケア、頭皮ケア(髪と頭皮の保湿)
髪や頭皮の乾燥ダメージ、パサつきが気になる方は、ワセリンをヘアオイルの代わりとして使うのがおすすめ。
摩擦ダメージやドライヤーの熱から保護し、頭皮や髪の乾燥を防いでくれます。
【頭皮ケア】
- 入浴前、ワセリンを指先にとる
- 指の腹で頭皮にワセリンをすり込むようにやさしくもむ
- 通常通りシャンプーし、頭皮に残ったワセリンと皮脂汚れを洗い流す
【ヘアケア】
- タオルドライ後、ワセリンを米粒大とり手のひらに広げてる
- 毛先を中心に髪全体にワセリンをなじませる
- 通常通りブローする
- ワセリンを米粒大とり手のひらに広げる
- 毛先を中心に分け目、短い毛、おくれ毛などになじませる
ヘアケアの際にワセリンの量多いと、ベタつきの原因になります。
かならず少量を指先の体温でゆるめて伸びやすくしてからなじませてください。
よりしっとりさせたい場合は、少しずつワセリンを塗り重ねていきましょう。
ワセリンはヘアワックスの代わりとしても使えます。
ワセリンの油分が髪につやをあたえて、やわらかく自然な束感を出すのにピッタリです。
整髪料特有の香りが苦手な方やまとめ髪やおくれ毛を抑えるのにおすすめです。
ヘアケアに使うよりやや多めの量を手にとり、乾いた髪の毛先を中心に髪に伸ばしてください。
ニキビ、かゆくなる、日焼け…ワセリンに副作用はある?
ワセリンは一般的な使用であれば副作用やアレルギーほとんどないとされています。
よくある誤解ですが、ワセリンを塗ることで日焼けしやすくなる心配はありません。
「ワセリンは日焼けする」という誤解が生じているのは、油焼けという現象があるためです。
油焼けとは、肌に塗布した油分が酸化し、色素沈着(日焼け)が起きる現象のこと。
しかし油焼けで酸化してしまうのは、油分そのものではなく「油に含まれる不純物」です。
精製技術や純度があがった現代のワセリンでは、日焼けする危険はほとんどないといえます。
ただし肌の状態によっては、まれにニキビやかゆみなどの肌トラブルを起こすこともあるようです。
特に赤ニキビができているときは使用を控えるようにしてください。
油膜で赤ニキビの毛穴をふさいでしまうことで、症状を悪化させてしまう可能性があります。
超敏感肌や皮膚炎などで肌への使用が不安な方は、使用前にパッチテストをしてみましょう。
正しい使用方法を確認して、効果的にワセリンを使うのを心がけましょう。
ワセリンでトラブルを起こさないために、正しい保存方法や使い方を守ることも大切。
- 綿棒、スパチュラ、清潔な手などを使用して容器からとりだす
- しっかりとフタを閉めた状態で保存する
- 保管場所は直射日光を避ける
本来ワセリンは使用期限が長く、変質や酸化が起こりにくいアイテムです。
ただ保存料や防腐剤がほとんど含まれていないので、汚れた手で直接触れると雑菌が混ざったり、保管方法が悪いと変質する可能性があります。
上記のポイントを守って、使用期限内に清潔に使うようにしてください。
ワセリンは、肌を乾燥や外部刺激から守る効果のある低刺激の天然保湿剤。
原料である石油の精製純度別に種類が異なり、純度が高いほど白く刺激性も少ないのが特徴です。
1つ持っているだけでスキンケアからボディケア、ヘアケアまで全身のケアに使えます。
【ワセリンのおすすめ使用法をおさらい!】
- スキンケア最後の保湿クリーム
→化粧水や乳液の後、純度の高い「白色ワセリン」を少量伸ばす
→ボディクリーム代わりに塗り込んでマッサージ+保湿する - 毛穴の角栓や黒ずみをケアする毛穴パック
→分厚く塗布した状態で湯船やシャワーであたたまり毛穴をほぐす
→顔全体に伸ばしてからやさしく拭き取りクレンジングする - クレンジング代わり
→指先であたためたパール1粒大のワセリンをなじませた後に洗顔する - リップケア
→リップクリーム代わりに普段の唇の保湿として使う
→ホットタオルとラップを使ったリップパックでスペシャルケアする - ヘアケア
→シャンプー前に頭皮に塗り込み保湿する
→タオルドライ後とブロー後、ヘアオイル代わりに髪全体に揉み込む
シンプルケアを心がけたい方は、ぜひワセリンを使ってみてください。