スキンケア商品やコスメの成分としてよく目にする「グリセリン」。
実は、保湿力に優れていて、マルチな使い方ができる便利な成分。
近年では、簡単に手に入る手作り化粧水の材料としても人気を博しています。
そこでこの記事では、グリセリンの効果と種類、手作り化粧水の作り方を解説。
あわせてハンドケア、ボディケア、バスグッズなどでの使い方も紹介しています。
化粧水を作ってみたい方やグリセリンの使い方に迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
グリセリンとは?カサつき、ニキビ、肌荒れに効果的な保湿剤
グリセリンとは、保湿成分のひとつ。
アルコールの一種であり、無色透明、無臭のやや粘性がある液体です。
植物や海藻などに多く含まれていて、私たちの体の中にも中性脂肪として存在しています。
刺激性がほとんどなく、口に入れても安全といわれています。
化粧品の保湿剤や潤滑剤、食品添加物、医薬品などに幅広く使用される成分です。
グリセリンは吸湿性に優れていて、肌の角層の水分をキープする性質を持っていることが特徴。
化粧品に配合して粘り気を出すことで、使い心地や保湿性を高める役割もあります。
保湿力の高いグリセリンは、下記のような肌トラブル対策に効果的です。
- カサつき、かゆみ、粉吹きの軽減
- 乾燥によるニキビの予防
- 肌荒れ、あかぎれ予防
さらに、水に接するとあたたかさを生じる温感作用があります。
温感タイプのマッサージローション、シートマスク、クレンジングの主成分になっていることも多いです。
グリセリンの種類は、天然と合成の大きく2つに分けられます。
- 天然グリセリン:化粧水、ボディケア、ヘアケア
→植物由来、海藻由来、大豆由来、動物由来がある
→おもにココナッツ油やパーム油などが原料
→オーガニック商品に多く使用されている - 合成グリセリン:医薬品
→石油が原料
→純度が高いため、品質劣化しにくく加工しやすい
おもに化粧品に使われているのは、植物由来の天然グリセリンです。
一方、合成グリセリンは原料が石油で、天然グリセリンよりも不純物が少ないのが特徴。
安全性が高く、肌へも刺激が少ないため、医薬品や工業用品として多く使われています。
「濃グリセリン」「グリセリンカリ液」との違い
グリセリンは、濃度や配合成分によって大きく3種類に分けられます。
種類 | 配合成分 | グリセリン濃度 |
グリセリン | グリセリン、精製水 | 84~87% |
濃グリセリン | グリセリン、精製水 | 95〜98%前後 |
グリセリンカリ液 | 水酸化カリウム、グリセリン、添加物(エタノール、香料) | 約20〜25% |
そもそもグリセリンは、濃グリセリンを水でのばしたもの。
実は、通常グリセリンの製造過程では、まず濃グリセリンが製造されます。
ただそのままでは粘度が強く、使いにくい状態。
そこで濃グリセリンに精製水を加えて使いやすくしたものを、グリセリンとして販売しています。
つまり、グリセリンと濃グリセリンの効果はまったく同じといえます。
一方で、グリセリンとグリセリンカリ液は、配合成分や使用目的が違う別物。
グリセリンカリ液はおもにひび、あかぎれに効果的といわれています。
スキンケアで使うなら、グリセリン(濃グリセリン)を選んでください。
グリセリンと似ている?「ワセリン」との違い
よく似ているといわれるワセリンですが、グリセリンとの違いは保湿効果の仕組みにあります。
種類 | 保湿効果 | おすすめ使用法 | 同じ保湿力の成分 |
グリセリン | 水分を吸収する | 化粧水、ローション |
|
ワセリン | 水分を蒸発させない | 保湿クリーム |
|
グリセリンは「水分をつかむ」役割、ワセリンは「水分にフタをする」役割を持っています。
グリセリンは、肌に直接うるおいをあたえてくれる成分。
一方、ワセリンはうるおいをキープする成分。
ワセリン自体に肌をうるおす効果はないので、化粧水などを併用して水分を補給する必要があります。
どちらも全身に使える保湿成分ですが、目的によって使い分けるといいでしょう。
【グリセリンの使い方】手作り化粧水がおすすめ!作り方をチェック
グリセリンを効果的に取り入れるなら、化粧水を手作りするのがおすすめ。
手作り化粧水は、市販の化粧水に含まれている保存料や合成香料など含みません。
また比較的安価で、100mlで500円前後と薬局などで簡単に手に入ります。
敏感肌の方や肌に合う化粧水が見つからない方は、ぜひチャレンジしてみてください。
必要なもの:精製水、グリセリン、スポイト
グリセリン希釈濃度:5〜10%
【作り方】
- アルコール消毒、または煮沸消毒済みの清潔な容器を用意する
- 精製水95ml、スポイトでグリセリン5mlを計り取る(5%濃度)
- 容器に②を加え、フタをしてよく振り混ぜる
グリセリン化粧水をはじめて試す際は、まず5%濃度で肌の調子を確認してください。
10%濃度にあげる場合は「精製水90ml、グリセリン10ml」を加えて作りましょう。
またグリセリンだけでなく、美容成分やアイテムを追加するのもおすすめです。
おすすめ追加アイテム | 効果 | 分量 | ポイント |
ヒアルロン酸 | 保湿 | 3〜5g | よく振って1〜2日待つ |
セラミド | 2〜5g | 他の成分と混ぜない | |
尿素 | 25g | 原液は冷蔵庫で保管する | |
ビタミンC誘導体 | 美白※、皮脂抑制、抗酸化など | 2~4g | 水溶性のものを選ぶ |
日本酒 | 美白※ | 50ml | 精製水と1:1で入れる |
はちみつ | 保湿、殺菌 | 小さじ1 | よく混ぜる |
アロマオイル | アロマオイルの効果 | 2〜3滴 | 天然由来100%のオイルを使う |
※シミそばかすを防ぐ作用。
(参考:ビタミンC誘導体の効果的な選び方知ってる?種類別の特徴、おすすめの使い方を解説!)
特にヒアルロン酸はグリセリンと相性が良いといわれている成分。
より高い保湿力が期待できます。
ちなみにグリセリン化粧水は、水道水やミネラルウォーターでも作れます。
ただ水道水は消毒に塩素が使われており、ミネラルウォーターにはミネラルが含まれているのが特徴。
敏感肌の方、塩素やミネラルが肌に合わない方は肌荒れを起こす可能性があります。
肌へのやさしさを重視するなら、精製水を使うのがおすすめです。
シンプルな成分や求める効果のアイテムで、自分に合ったグリセリン化粧水を作りましょう。
敏感肌の方やグリセリンの使用が初めての方は、使用の前にパッチテストをしてください。
- 二の腕の内側などの目立たない部分に少量グリセリンを塗り込む
- パッチテスト後約48時間肌の様子をみる
- 赤みやかゆみがないか確認し、問題なければ使用可能
万が一肌に赤みやかゆみ、腫れなどの異常が出た場合はすぐに使用を中止し、皮膚科を受診してください。
ローション、ハンドクリームなどボディケアにも使える
グリセリンは手作り化粧水以外にも、ハンドケアやボディケア、バスグッズにも使用できます。
グリセリンの濃度を変えたりアイテムを入れ混ぜたりして、簡単グリセリンコスメを作ってみてください。
マルチに使える便利なグリセリンで、全身保湿ケアしてみてください。
グリセリンに毒性、副作用、アレルギーはある?注意点をチェック
グリセリンには毒性、副作用、アレルギー性がほとんどありません。
皮ふへの刺激性もほとんどないため、敏感肌やアトピー肌の方も使いやすい成分といえます。
ただグリセリンをより安全に使うために、使用方法や保存方法に注意しましょう。
【使用方法】
- 皮ふへ塗布する際はかならず希釈する
- 手作りのスキンケア、ボディケアは10日前後で使い切る
- 熱、高温のもの、火気の近くでは扱わない
【保存方法】
- 容器のフタをかならず閉める
- 冷蔵庫で保管する
グリセリンを使用する際は、希釈濃度をしっかりと守ることが大切。
効果を求めてグリセリンの濃度を上げすぎると、逆に肌の水分を奪ってしまう可能性があります。
手作りコスメは、少しずつ作ってかならず冷蔵保存することがポイントです。
特に手作りコスメに使用する精製水は、防腐処理されていません。
開封後は雑菌が繁殖しやすいため、できるだけ早く使い切りましょう。
手作りコスメや開封後のグリセリンは、密閉保存することも重要。
グリセリンは吸湿力が高いため、空気中の水蒸気に吸着して濃度が低下する可能性があるので注意してください。
グリセリンの手作りコスメを正しく使用して、効果を最大限に引き出しましょう。
グリセリンとは、吸湿性に優れた保湿成分のこと。
カサつきや乾燥によるニキビ予防に効果的で、低刺激のため敏感肌の方にもおすすめです。
【グリセリンの使い方をおさらい!】
- 手作り化粧水
→精製水100ml、グリセリン5〜10mlを混ぜる(5〜10%濃度) - ハンドケア、マッサージローション
→精製水、グリセリンを10:1の割合で混ぜる - ボディスクラブ
→重曹、グリセリンを3:1の割合で混ぜる - シャンプー/コンディショナー
→精製水500ml、グリセリン小さじ1、クエン酸大さじ3を混ぜる
→500mlのシャンプーとリンスにグリセリン大さじ1ずつ加える - 入浴剤
→グリセリン小さじ1、クエン酸大さじ1、重曹大さじ2、アロマオイル2~3滴を混ぜる
ぜひグリセリンを使って、簡単手作りコスメに挑戦してみましょう。