
日本ではまだあまり馴染みのない”過酸化ベンゾイル”という治療薬があります。
名前は怪しいものの、アメリカでは最もポピュラーなニキビ治療薬で、ニキビに効果的と言われています。
ただし効果が高いぶん、副作用が出やすいというデメリットも存在しています。
今回はこの”過酸化ベンゾイル”の効果や副作用、使うときの注意点などについて解説していきます。
Contents
過酸化ベンゾイルって何?

過酸化ベンゾイルは、海外ではニキビ治療に欠かせない殺菌成分です。
おもに軽いニキビ・重症になりかけのニキビに効果があり、50年以上も前から使われている信頼のある成分です。
アメリカ版のプロアクティブやクレアラシルなどにも使われています。
ただ、日本ではまだまだ新しい薬で、2014年に厚生労働省で承認されて使われるようになったばかりです。
そのため、まだ日本では市販薬やスキンケア商品には使われていません。
(もし過酸化ベンゾイル入りの市販品がほしいときは、海外の通販サイトや個人輸入でならゲットできます。)
皮膚科でもらうしかないので、使ってみたい人は皮膚科に行く必要があります。
知っておきたい過酸化ベンゾイルの3つの特徴

1,耐性ができないからずっと使うことができる
これは過酸化ベンゾイルの優れた点です。
日本のニキビ治療でおなじみの薬といえば”抗生物質”が知られています。
ただ抗生物質は体に耐性※がついて、だんだんニキビに効かなくなるというデメリットがあります。
※ニキビの原因菌が薬に慣れてしまうこと
これに対して過酸化ベンゾイルは、耐性がつきにくいのでずっと使うことが可能です。
ころころと薬を変える必要がなくなるので「せっかく肌に合っていたのに、また薬を変えなきゃいけない…」なんてこともなくなるわけです。
2,副作用で肌が乾燥しやすくなる
これは過酸化ベンゾイルのかなりネックな点です。
過酸化ベンゾイルをつけると、肌が乾燥しやすくなると言われています。
殺菌力が強いため、肌への刺激も強いです。
肌は乾燥すると、バリア機能(肌を守る力)が下がってしまいます。
その結果として
- 逆にニキビができやすくなる
- 皮脂が増えて毛穴がポツポツと黒ずむ
- すぐに赤みやかゆみがでる肌になってしまう
- 紫外線の影響を受けやすくなり、日焼け・シミ・シワにつながる
といった悪い影響が肌にでてしまうことがあります。
3,効くニキビと効かないニキビがある

ニキビの治療薬ですが、全てのニキビに効果があるわけではありません。
効かないニキビがあることも知っておきましょう。
過酸化ベンゾイルが効くニキビ
⇒白・黒・赤ニキビ(アクネ菌が原因のニキビ)
過酸化ベンゾイルが効かないニキビ
⇒黄ニキビなどの重いニキビ(アクネ菌以外の菌も原因になっているニキビ)
●白・黒・赤ニキビに効果がある理由
白・黒・赤のニキビはアクネ菌が毛穴の中で増えることでできています。
アクネ菌をやっつけてくれる過酸化ベンゾイルを使うと、効率的に治すことができます。
●黄ニキビなどの重症ニキビに効果がない理由
黄ニキビなど化膿したニキビは、アクネ菌だけでなく”黄色ブドウ球菌”も増殖しています。
過酸化ベンゾイルは黄色ブドウ球菌はやっつけることができません。
そのため、すでに膿んでしまった重症ニキビは治すことができないということです。
過酸化ベンゾイルのニキビへの効果

過酸化ベンゾイルの肌への働きと効果は、主に以下の2つがあげられます。
- アクネ菌をすばやくやっつける→ニキビが早く治る
- 毛穴をつまりにくくする→ニキビができにくくなる
1つずつ詳しく説明しますが、簡単に言うとニキビを早く治し、予防までできる成分だと言えます。
①アクネ菌をやっつけてニキビを早く治す

過酸化ベンゾイルは酸素を発生させて、アクネ菌を弱らせます。
皮脂でふさがった毛穴の中に入ると、どんどん増えてニキビを作ってしまいます。そして更に増えると肌が炎症をおこします。
これが痛い赤ニキビの正体です。
アクネ菌がいなくなれば炎症が引くので、ニキビは治ります。
できたてのニキビに使えば、ニキビが悪化する前に治せるということです。
またニキビを早く治すことは、ニキビ跡になるリスクを減らすことにもつながります。
②毛穴をつまりにくくしてくれる

過酸化ベンゾイルには、古い角質をはがれやすくする効果があります。
ニキビの根本的な原因は”毛穴がつまること”です。
古い角質がとれると毛穴はつまりにくくなり、ニキビもできにくくなるのです。
また毛穴の中がきれいだと、過酸化ベンゾイルが奥まで入れます。
そのためよりしっかりと殺菌できるようになり、①のニキビを早く治す効果を上げることにもつながります。
過酸化ベンゾイルが使われている薬

皮膚科でもらえる過酸化ベンゾイル入りの薬にはいくつか種類があります。
それぞれの効果と副作用について紹介しますので、参考にしてください。
皮膚科でもらえる過酸化ベンゾイル入りの薬
ペピオゲル2.5%

価格:540円(一本)
※病院によって多少異なります。
ペピオゲルは肌に直接塗るタイプの薬です。
使い方はとてもカンタンで、1日1回洗顔のあとに塗るだけでOKです。
アクネ菌を殺して、毛穴の詰まりを改善してくれます。
ペピオゲル2.5%の副作用
- 肌が粉をふく
- ヒリヒリする
- 塗った部分の肌が赤くなる
- 肌が乾燥する
一時的なもので、だいたい1~2ヶ月ぐらいでおさまります。
もしなかなか治まらないときはすぐに使用をやめて、病院に行くようにしてください。
デュアック配合ゲル
価格:470円(一本)
※病院によって多少異なります。
日本はもちろん、世界80カ国で使われている実績のある塗り薬です。
過酸化ベンゾイルのほかに、抗生物質であるクリンダマイシンという成分が使われています。
ペピオゲルと同じく、1日1回洗顔に塗るだけでOKです。
抗生物質が使われているため、即効性があるのが特徴です。
とくに赤ニキビに効果的で、大体2週間~1ヶ月で効果が現れるとされています。
デュアック配合ゲルの副作用
- 肌の乾燥
- かぶれ
- 肌が赤くなる
- 皮膚がはがれやすくなる(皮むけ)
なるべくニキビの部分だけにピンポイントで使うのがおすすめです。
それでも副作用が出るときは、1度使用をやめてお医者さんに相談してください。
また赤ちゃんが奇形になる恐れがあるので、妊婦さんは注意してください。
エピデュオゲル
価格:720円(一本)
※病院によって多少異なります。
ニキビ専用の塗り薬です。
ペピオゲルとディフェリンゲルという2つの薬の成分が一緒になっています。
できかけの白ニキビから、症状の重いニキビまでほとんどのニキビに効果があるとされています。
※顔以外の肌への使用は原則禁止とされています。体には使わないようにしましょう。
1日1回、夜寝る前に洗顔をしてきれいな状態な肌に塗るだけでOKです。
エピデュオゲルの副作用
- 接触性皮膚炎
- アレルギー性皮膚炎
どちらも顔が真っ赤になる皮膚炎です。
見た目も痛みもつらいので、少しでも違和感を感じたらすぐに使用を中止するようにしましょう。
海外の通販で買える過酸化ベンゾイル入りの市販薬

海外の通販サイトor個人輸入代行サイトで買える、過酸化ベンゾイル入りの市販薬を紹介します。
ただし、海外の製品を買うということは
- ニセモノを買ってしまうことがある
- 副作用など肌トラブルが起きても全て自己責任になる
など、ある程度のリスクがあることは絶対に忘れないようにしてください。
ベンザックACジェル
価格:1,880円(一本)
※販売サイトによって多少異なります。
ニキビの原因になる古い角質をとりのぞいて、新しいニキビを予防する薬です。
肌にいる菌のバランスを崩さないため安心して使うことができます。
ベンザックACジェルの副作用
- 肌が乾燥する
- 肌が赤くなるorかゆくなる
1ヶ月以上こうした副作用が出る場合は使うのをやめるようにしてください。
過酸化ベンゾイルが2.5%入っているモノと5%入っているモノがあります。
5%はかなり肌への刺激が強いので、2.5%のモノがオススメです。
ブレボキシルクリーム
価格:2,480円(一本)
※販売サイトによって多少異なります。
アクネ菌を殺菌する薬です。
殺菌効果が高いので、肌をキズつけるバクテリア(細菌)も殺菌してニキビを予防してくれます。
ブレボキシルクリームの副作用
- 肌のはれ
- 乾燥
- 肌が赤くなる
過酸化ベンゾイルの濃度が高いので、副作用がでやすいと言われています。
肌に違和感を感じたら、すぐに使うのをやめるようにしましょう。
ニュートロジーナ ニキビジェル
価格:4,300円(一本)
※販売サイトによって多少異なります。
アクネ菌だけではなく、黄色ブドウ球菌やマラセチア菌も殺菌してくれます。
これらの菌は背中ニキビや、症状が重い黄ニキビの原因です。
体にできてしまったニキビはもちろん、顔のなかなか治らないニキビに効果を発揮してくれる優れモノです。
1つ4,000円~と値段が高めですが、日本でも人気があるので楽天から買うことができます。
ニュートロジーナ ニキビジェルの副作用
- 肌がヒリヒリする
- 乾燥しがちになる
- 肌が赤くなる
こちらも肌に違和感を感じたらすぐに使うのをやめるようにしましょう。
過酸化ベンゾイルが使われているスキンケア商品

「過酸化ベンゾイルをスキンケアに取り入れたい」という人に、過酸化ベンゾイル入りのスキンケア商品も紹介します。
ただ、これも海外の通販から買うものです。
塗り薬と同じで、肌に合わなくても全て自己責任になるということは理解したうえで使うようにしてください。
ブレボキシル洗顔4%

価格:1,980円(一本)
※販売サイトによって多少異なります。
過酸化ベンゾイルが4%入っている洗顔料です。
ニキビの原因である皮脂をおさえて、古い角質を落としてくれる効果があります。
普通の洗顔料と同じように1日1~2回洗顔すればOKです。
使用してから3週間ほどで効果が出るとされています。
ニュートロジーナ アクネストレスコントロール トリプルトナー

価格:4,700円(一本)
※販売サイトによって多少異なります。
過酸化ベンゾイルとサリチル酸が入っているふき取り化粧水です。
洗顔でとりきれなかった汚れや、古い角質をとってくれます。
ほとんどの商品が個人輸入のなか、この拭き取り化粧水は楽天でも取り扱っているので、買いやすいのが嬉しいポイントです。
海外のサイトに比べるとちょっと高いですが、安心して買うことができます。
プロアクティブ リペアリング トリートメント(アメリカ版)

価格:3,456円(一本)
※販売サイトによって多少異なります。
昼用の薬用クリームです。
使用感が軽いので、「普通のクリームだと重い」という人が夜につけるのもOKです。
過酸化ベンゾイルは乾燥しやすいですが、このクリームには
- チャエキス
- ホホバオイル
- アロエエキス
などの保湿成分が入っているので乾燥を防ぎつつ、ニキビにアプローチしてくれます。
こちらは日本の通販サイトでも取り扱っています。
「海外の通販サイトは不安・・・」という人は日本の通販サイトで買うようにしましょう。
過酸化ベンゾイルを使うときの注意点

特徴のところで触れましたが、過酸化ベンゾイルを使うと肌が乾燥してバリア機能が弱ります。
そのため過酸化ベンゾイルを使うときは、保湿ケアと紫外線対策の2つをしっかりとするようにしましょう。
化粧水や乳液でしっかり肌に潤いを与える

当たり前ですが乾燥をカバーするためには、潤いを与えなければいけません。
過酸化ベンゾイルを使ったら、必ず保湿ケアをしましょう。
特に難しいことはなく、化粧水や乳液をつけてあげるだけでOKです。
ただ、できるだけ保湿成分がたっぷり入っているものを使うのがおすすめ。
- コラーゲン
- ヒアルロン酸
- ビタミンC誘導体
- セラミド
などの成分が使われているケア用品はとくにオススメです。
しっかりと保湿して、肌を守ってあげましょう。
UV対策も万全に

バリア機能が弱っているので、肌は紫外線にも超敏感です。
紫外線をかわすことはできませんので、UV対策を万全にしておきしょう。
- 日焼け止めは必ずつける(【SPF15~20・PA+】くらいのものが肌にやさしい)
- 日傘をさす
- サングラスや帽子をかぶる
など、できるだけ紫外線から肌を守ることが大切です。
過酸化ベンゾイルと上手に付き合ってニキビとサヨナラしよう!
過酸化ベンゾイルはニキビへの即効性がある一方、副作用も出やすい成分です。
まだ日本では浸透していませんが、これからたくさん過酸化ベンゾイル入りの商品が出ることも考えられます。
もし使う機会があるときは、副作用までしっかりと理解した上で使うようにしてください。